こんにちは、ヒロマリです(^^)

今月は『防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)』について中医学の観点からお話ししたいと思います。

『防風通聖散』は“瘦せる漢方”と認識されている方が多いかもしれません。
お医者さんに処方してもらうだけでなく、市販薬の”ナイシトール“や”コッコアポEX“など薬局やドラッグストア、通販などで手に入れることもできます。

確かに『防風通聖散』を服用して瘦せる方もいますし、医学的に実証されています。しかし万人に使用できるかと言ったらNOです。そのあたりも含めて、詳しくみていきましょう♪

『防風通聖散』は１８種類の生薬から構成されており、以下の①②に分けられます。

①≪去邪：きょじゃ≫体の内や外にある邪気を取り除く
防風・荊芥(けいがい)・麻黄(まおう)・薄荷(はっか)：体の表面にある邪気＝風邪を取り除く
　石膏(せっこう)・黄芩(おうごん)・連翹(れんぎょう)・桔梗(ききょう)：肺や胃の熱をさます
　大黄(だいおう)・芒硝(ぼうしょう)：体の内にある熱を大便から排泄
　山梔子(さんしし)・滑石(かっせき)：体の内にある熱を尿から排泄

　②≪扶正：ふせい≫不足しているものを補う
当帰(とうき)・芍薬(しゃくやく)・川芎(せんきゅう)：血を増やす、血の流れをよくする
　白朮(びゃくじゅつ)・生姜(しょうきょう)・甘草(かんぞう)：胃腸を健やかにする

つまり中医学では、『防風通聖散』は体に熱が溜まっている人で、風邪を引いて喉が痛い、発熱して、便秘がある人に用います。ここで大事なことは、「排便により邪気を外に追い出すこと」です。ただし、体が弱っている人や妊婦さんには使用できません。

また中医学では、甘い物や油っこい物を食べ過ぎると体の中に熱が溜まる(内熱)と考えます。この熱が進行して皮膚の表面でニキビや肌荒れの原因になります。なので風邪を引いていなくても、体の中に熱があることによる化膿性のニキビや蕁麻疹にも使用できます。長期服用せずに内熱が無くなったら服用は中止しましょう。服用してみたいなと思う方は一度、かかりつけの医師やお近くの薬局・ドラッグストアの薬剤師に相談してみて下さい！

今月も最後までお読みいただきありがとうござます！また来月もお目にかかれますように☆


　＜コラム記事　一覧＞
　・2022.02.03　第35回　『小豆』
　・2022.01.04　第34回　『七草粥』
・2021.12.06　第33回　『アンチエイジング』
・2021.11.08　第32回　『柿』
・2021.10.08　第31回　『防風通聖散』
・2021.09.06　第30回　『ドーピング』
・2021.08.18　第29回　『藿香正気散』
・2021.07.19　第28回　『ドーピング』
・2021.06.15　第27回　『藿香正気散』
・2021.05.01　第26回　『新型コロナウィルス』
・2021.04.01　第25回　『こむら返り』
・2021.03.01　第24回　『桃』
・2021.02.01　第23回　『節分』
・2021.07.19　第28回　『ドーピング』
・2021.06.15　第27回　『藿香正気散』
・2021.05.01　第26回　『新型コロナウィルス』
・2021.04.01　第25回　『こむら返り』
・2021.03.01　第24回　『桃』
・2021.02.01　第23回　『節分』
・2021.01.06　第22回　『食べ過ぎ』
・2020.12.09　第21回　『お屠蘇』について
・2020.11.01　第20回　『舌診』について
・2020.10.01　第19回　『瓊玉膏』について
・2020.08.26　第18回　『瓊玉膏』について
・2020.08.10　第17回　『脈診その２』について
・2020.07.01　第16回　『脈診その１』について
・2020.06.12　第15回　『平胃散』について
・2020.05.11　第14回　『婦人科3大処方』について
・2020.04.14　第13回　『八味地黄丸』について
・2020.03.29　第12回　『花粉症』について
・2020.02.25　第11回　『温活』について
・2020.01.17　第10回　『補益剤』について
・2019.12.08　第9回　『麻黄湯』について
・2019.11.07　第8回　冬は『腎』
・2019.10.18　第7回　秋は『肺』
・2019.09.17　第6回　『気』『血』『津液』について
・2019.08.06　第5回　夏は『心』
・2019.07.02　第4回　陰陽五行について
・2019.06.02　第3回　梅雨時は『脾』
・2019.05.04　第2回　中医学の基本の考え方について
・2019.04.30　第1回　春は『肝』